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GSX-R1000は、どんな状況下においても、常に「走る」「曲がる」「止まる」の基本性能はNo.1であり続ける。
シンプルで揺るぎないコンセプトのもと、開発を続けてきた。
新しいGSX-R1000の開発は、従来とはまったく逆の発想で始まった。理想とする車体のディメンションをあらかじめ設定して、エンジンの構成を決定。これにより、前後にコンパクト化された新設計エンジンが生まれ、理想に近い車体ディメンションを実現した。
車体のディメンションをすべて新しくしたことは、「コーナリング性能」と「車体性能」が高次元でシンクロする「トータルバランス」にさらに磨きをかけることになった。
エンジンの駆動力を、効率よく路面に伝えることは、スムーズに速く走れるという安心感を得ることができる。
新しいGSX-R1000は、『The Top Performer』のプロダクト・コンセプトに相応しい確固たる存在感をアピールする。 |
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コンパクト化・軽量化によって「ハイパフォーマンス・ハイポテンシャル」を両立したAll-Newエンジン
新設計のエンジンはパワーアップのみに注力されたわけではない。運動性能とトラクション性能をアップさせることで、車体とのトータルバランスを追求し、走行性能を高めるというコンセプトをもって開発された。
ストローク(ショート化)、圧縮比、カムプロフィール、燃焼室形状などが変更されることで、全域でのスムーズなトルクカーブが実現された。
クラッチシステムはケーブルワイヤー式へ変更し、レース用エンジンのベースとしてのポテンシャルを大幅に高めることが可能となった。
クランクケース形状は3分割から2分割へ変更、3軸配置の見直しにより、エンジン全体の軽量化、コンパクト化を実現した。そして、「ホイールベース」を短く、「スイングアーム」を長くという相反する課題をクリアし、走行性能アップに貢献した。
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シリンダー
新設計のシリンダーは、熱伝導性、耐久性などを強化し、シリンダー内壁にSCEM(Suzuki Composite Electrochemical Material)メッキ処理を施すことで、摩耗低減やピストンリングのシーリング性能を高めた。
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ピストン
新設計の鍛造アルミ合金ピストンは、強度を高めるとともに前モデルに比べ外径の拡大やコンロッドの延長などにより、ショートストローク化に必要な形状の最適化が図られた。 また、L字断面のTOPピストンリング採用により、高い圧力封止性能を実現した。 |
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ボア&ストローク
新設計のエンジンは、ショートストローク化によりピストンスピードを落とし、ピストンリング追従性を高めるとともにメカニカルロスを低減。
圧縮比やカムプロフィール、燃焼室形状などの変更により、高回転域の出力特性を高めるだけでなく、全域においてスムーズなトルクカーブを実現した。
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クランクシャフト
新設計のクランクシャフトは、スズキの4気筒市販車としては初のクランクシャフト軸端給油システムが
採用され、潤滑効率が高まったことで、耐久性アップとメカニカルロスの低減を実現した。
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バルブ
チタン合金製のバルブは、前モデルに対して吸気、排気ともバルブ径を1mm拡大した。
バルブスプリング
バルブスプリングをシングルからダブルに変更し、高強度のスチール合金製スプリングを採用。高回転域での動弁挙動の安定に貢献した。
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クランクケース
クランクケースの形状を3分割から2分割に変更し、軽量化を図った。クランクシャフト、カウンターシャフト、ドライブシャフトの三軸配置の変更により、カウンターシャフトを上側にレイアウト。
クランクシャフトとドライブシャフト軸間距離を59.7mmに短縮し、エンジン全体のコンパクト化を実現した。
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クラッチ
操作系を油圧式からケーブルワイヤー式に変更したことで、発進時などの操作感を高めるだけでなく、軽量化をも実現した。 また、フェーシング材やバックトルクリミッターの変更を行い、クラッチカバーおよびスターターモーターカバーを一体化することで、前モデルから200gの軽量化に成功した。
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ラジエター
台形ラジエターを採用し、ラジエターコア幅を16.3mmに縮小することで軽量化を達成した。
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オイルクーラー
長方形型から台形型に変更することで、カウル幅の狭小化を実現。放熱量を前モデルの4.53kwから6.13kwと高めたことで、安定したエンジン性能の実現に貢献した。
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SRAD
SRAD(Suzuki Ram Air-Direct)エアインテークは、最も吸気効率のよいフロントフェアリングノーズの中央ラインに配置し、吸気ダクトのインテークを従来のメッシュからルーバー状に変更。吸入効率を高めるとともに、軽量化も実現した。
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エアクリーナー
エアクリーナーボックスは十分な容量を確保しつつ、軽量化を実現。アウトレットファンネル材質をゴムから樹脂に変更することで、形状の自由度が向上し、軽量化と吸気効率のアップを果たした。レースでの使用を考慮して、エアクリーナーの取り付け形状を見直した。また、エアファンネル長を前モデル比10mm短縮した。
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SAES
SAES(Suzuki Advanced Exhaust System)には、モトGPを彷彿とさせるチタンマフラーを採用。エンドピースは別体になり、バフ仕上げで高級感を演出。 ダウンマフラーは、低重心化にも寄与し、排気系全体で前モデルに対して約400gの軽量化を実現。 SET(Suzuki Exhaust Tuning)にはサーボ制御バタフライバルブを採用し、排圧を最適化。O2センサーからのフィードバック制御による燃料噴射の適正化により燃焼効率をアップ。
ステンレススチール製チャンバーには、キャタライザーが装備され、炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx)の排出を低減することで排ガス規制に対応。
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スロットルボディ
エアクリーナーの取り付け方法をフランジ式に変更することで、スロットルボディを前モデルに対して5mmショート化。 2つのスロットルバルブを持つSDTV(Suzuki Dual Throttle Valve)を採用し、緻密な燃焼コントロールを実現した。 また12穴インジェクターを採用したことで、全回転域において、よりリニアなスロットルレスポンスとトルク出力を実現。
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PAIR
小型化したPAIR(Suzuki PAIR(Pulsed-air))を採用。
エンジン回転数、およびスロットルポジションに基づき排気ポートへ2次空気の導入と、未燃焼の
炭化水素(HC)を燃焼させることで、CO2の削減に貢献した。
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S-DMS
走行時の様々なシチュエーションにおいて、ライダーの好みに応じて3つのモードからエンジン特性を選べるS-DMS(Suzuki Drive mode selector)を採用。
モード選択スイッチを左ハンドルスイッチへ移動し、人さし指と親指を使用する2つのボタンとすることで、操作性をより高めた。
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走行性能をトータルで高めたALL-Newシャーシ 安定性と俊敏性を持ち合わせた「圧倒的走行性能」を実現Chassis
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フレームのピボットとヘッドパイプの位置を近くしてコンパクト化されたツインスパーフレームは、前モデルに比べ10mm短いホイールベースを可能とした。スイングアームを32mm伸ばすことでアンチスクワット性能、トラクション性能、コーナリング性能を高めることに成功した。同時にタイヤへの負担も大きく軽減した。また前後サスペンション関連部品だけで、前モデルに対し約1500gもの軽量化を実現し、フレーム、サブフレームなど、各部で妥協なき軽量化を追求し、走行性能アップに貢献。
さらに、モノブロックブレーキキャリパーやBPF(Big Piston Frontfork)など、走行性能を大幅に高める機能部品を採用。
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フロントサスペンション
サーキットからのフィードバック技術で新設計のBPFにはチタンコーティングが施された43mm径のインナーチューブを採用。BPFは、フォークスプリングをフォークレッグに移動させることで、完全にオイルに浸漬。フォークオイル発泡を低減させ、減衰力が安定する。 初期作動時から安定した応答性を得るとともに、フォークの沈み込みの精確性、およびライダーへのフィードバック性が高められた。
カートリッジの廃止など、構造をシンプル化し、前モデルに対し720gの軽量化の達成と同時に整備性が向上した。
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ステアリングダンパー
減衰特性とコンピューター制御の見直しを行ったステアリングダンパーを採用し、ダンピングフォースは高速時に大きく、低速時は小さくなることでハンドリング安定性と低速時の軽快感を実現。ピストンロッド中空化により前モデルに対し50gの軽量化を達成した。
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フレーム
新設計のアルミ合金製ツインスパーフレームは、軽量化とショートホイールベース化(前モデル比、10mm短縮)、特にピボットからステアリングヘッドまでの距離を縮めることで、コンパクト化と軽量化が達成され、俊敏性を手に入れただけでなく、コーナリング時の走行性能を高めた。
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スイングアーム
新設計のアルミ合金製スイングアームは、前モデルに対し32mm延長し、アンチスクワット性、およびトラクション性がアップ。 スイングアームを延長したものの、板厚などの見直しにより500gの軽量化が達成された
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ホイール
3本スポークのキャストホイールは、前モデルに対しフロントで180g、リヤで230gの軽量化を達成。バネ下重量を低減したことで走行性能のアップに大きく貢献した。
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ハンドルスイッチ
S-DMSの操作スイッチを左ハンドルバーに移し、スイッチレイアウトの変更により操作性が向上。メーターモードセレクトスイッチは右ハンドルバーに配置し、操作性が高まった。
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リアサスペンション
サスペンションダンパーのサイズを見直すことで、前モデルに対して300gの軽量化を達成。
低高速2WAYコンプレッションダンピング、リバウンドダンピングおよびスプリングプリロードの調整が可能となっている。 リンク周りでは、レバー比やレイアウトが見直され、プログレッシブな特性と応答性を確保し、荒れた路面でのトラクション性能が高められている。 またリンク周辺の部品を鍛造品からアルミ押出し材へと変更することで、軽量化を実現した。
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フロントブレーキシステム
フロントブレーキシステムには、新設計のモノブロック構造鋳造アルミキャリパーを採用、前モデルに対して、高剛性(液損剛性23%UP)と軽量化を両立。 また、キャリパーは形状、仕上げ、刻印までこだわり、緻密感と高機能感を付加。310mm径のブレーキディスクとアルミニウムフローティングピンは、前モデルに対し1枚あたり約30gという徹底した軽量化が追求され、フロントブレーキシステム全体で560gの軽量化を達成。
キャリパー、およびマスターシリンダーのシリンダーサイズ変更により、小型軽量化を実現した。
ブレーキホースには、より低膨張のブレーキホースが新たに採用され、ブレーキレバー操作時のタッチ感および剛性感がアップ、効力だけでなく高いコントロール性と優れたフィーリングが実現された。
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リアブレーキシステム
リヤブレーキシステムは、新設計のシングルピストンキャリパーを採用。
シリンダーサイズの変更により、前モデルと同等の制動力でありながら、バネ下重量を低減。
リヤブレーキシステムは、290gの軽量化を達成した。
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機能美と高級感を両立させた先進のデザインと機能部品 所有感とユーザビリティを高めたスタイリングと機能性を実現
Styling & Usability
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GSX-Rの新しいデザインは、そのアイデンティティを継承しつつ大きく生まれ変わった。 アグレッシブなフェイスとカウリングはエッジ感と立体感を造りこみ、ブレーキキャリパー、ライダーフートレストブラケット、ピリオンライダーフートレストブラケットなどの細部までを質感の高いデザインとした。可変式フットペグ、S-DMSなど、前モデルからの高いユーザビリティーも継承している。
タンクサイドカバーには質感の高い金属調の塗装を採用。フロントのウィンドスクリーンは薄いスモークとし、サイドカバー上には排気量ロゴ「1000」を一体成型によりエンボス加工するなど、最新トレンドの採用と質感向上が図られた。
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空力・デザインStyling & Usability
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フェアリング
フェアリングは空力特性を追求した形状に加え、外側に位置するネジを削減するなど、タービュランスの低減とスタイリッシュなビジュアルを両立。アッパーフェアリングはナックル部分を横に拡大し、ハンドルグリップ周りのウインドープロテクション性能をアップ。 ロアーフェアリングはカウル幅を狭小化することで空気抵抗を低減。
フェアリングサイドの大きな切り込みは、ラジエターを通る冷却用エアーの流量を高めるだけでなく、スタイリングに新たなデザインエッセンスを加えている。
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タンク
車体構成をコンパクトにしながら、タンク容量は、前モデルと同じ17.5Lを確保。 タンク前方部分のタンクカバー取り付けブラケットを、鉄板から樹脂に変更することで軽量化に貢献した。
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ヘッドライト
GSX-Rのアイデンティティである、縦2灯のヘッドライトレイアウトを踏襲。ヘッドライトデザインをカウル端まで鋭く切りあげ、よりアグレッシブなフロントマスクとした。 ロービームにサブリフレクターを追加し、2重のリフレクターとすることで配光性が高められた。
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バックミラー一体型フロントターンシグナル
新設計のバックミラーは、ターンシグナル一体型とした。 ミラー鏡面の振動を抑えることで後方視認性を高め、鏡面調整角度をより大きくし、様々な体格のライダーに合わせやすくした。スタイリングに合わせて、ステーとハウジングにはエッジの効いたデザインが採用され、ターンシグナル部は、アンバー色電球とクリアレンズの組み合わせで、十分な被視認性を確保した。
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リアコンビネーションランプ
コンパクトでシンプルなデザインのテールランプには、小型LEDコンビネーションテールライトをビルトイン。
また、リヤターンシグナルは、カウル上面まで大きく切込んだ形状とし、シャープなイメージを強調。
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ユーザビリティStyling & Usability
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ライディングポジション
前モデルと同様、シート高は、810mmを実現(当社測定値)。軽量かつ機能美を併せ持つフットペグは、3つの異なるポジションにおいて、それぞれ14mmの範囲で水平・垂直移動を可能とした。
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コンビネーションメーター
ユーザビリティと高級感を高めたコンビネーションメーターは、多機能化に伴い拡大されたデジタル液晶のスピードメーターと、レーシングスピリットを高揚させるアナログのタコメーターで構成。 メーター内のレイアウトが変更されるとともに、速度表示のデジタル文字形状を変更、および大型化し、視認性を向上。 イグニッションをオンにした時に、デジタル液晶は速度表示の数字がスロットマシンのように上昇するアニメーションを表示。インジケーターランプは右から左へと順番に点灯し、ライダーとマシンとのコミュニケーションが高められた。
また、タコメーターリングの金属調の塗装などが、フラッグシップに相応しい上質なコクピットを演出している。
液晶表示には、オドメーター、デュアルトリップ、リザーブトリップ、時計、照明輝度調整表示、水温、油圧警告、S-DMSセッティング表示、ギアポジションインジケーターを装備し、右ハンドルバーのスイッチで操作できる99分59秒99まで計測可能なストップウォッチ機能を新たに加えた。 メーター下には、250、500、1000rpmの3つの回転域で点灯タイミングを任意で設定できるシフトアップインジケーターを4灯配置した。
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